
はじめに
「猫背」と呼ばれる体幹が屈曲した姿勢には否定的な印象を持つ人は多いと思います。しかし、どの様な動作を目的とするかで適切な姿勢は異なる、そして、体幹を屈曲できる事は身体の大切な機能の一つであると考え、私は研究を行いました。研究のタイトルは「座位姿勢の違いが矢状面における頭部の可動域に及ぼす影響」です。
この研究において私は、体幹を伸展した方が(背中を伸ばした方が)頭部を楽に上に向ける事ができる一方で、体幹を屈曲した方が(背中を丸くした方が)頭部を楽に下に向ける事ができるという事を示しました。
この研究で示した内容は、よく考えれば当たり前の事です。何も研究にする必要はなかったのかも知れません。しかし、この研究の本質的価値を理解し、雑誌に原著論文を掲載してくれた栃木県理学療法士会の皆様には深く感謝致します。
尚、この研究は誰でもインターネットで見る事が可能です。研究の原著論文を読みたいという方はこちらのリンクをクリックして下さい。とはいえ、原著論文には専門用語も多く、読みづらいと感じる人もいると思うので、研究の要約をこのブログで紹介します。
方法
この研究の対象は、私が勤務する整形外科クリニックでリハビリテーションを実施する患者100名です。
対象者には、座位にて体幹が屈曲位・中間位・伸展位となる姿勢をとってもらいました。そして、各姿勢において頭部を上に向ける動作と下に向ける動作を行ってもらい、角度計を用いて頭部の可動域を計測しました。全ての姿勢や動作は楽に動かせる範囲で行われました。その上で、各姿勢における頭部の可動域(傾斜角)に有意な差があるのかを統計解析しました。



結果
どちらの動作も、各姿勢間における頭部の可動域に有意な差が見られた。


まとめ
この研究の結果から、楽に動かせる範囲という観点において、頭部を上に向ける際は体幹を伸展した方が有利な一方で、頭部を下に向ける際は体幹を屈曲した方が有利である事が示されました。
この研究が、体幹を屈曲できる事は身体の大切な機能の一つであるという事を示す一例になればと思います。そしてこの研究は、どの様な動作を目的とするかにより適切な姿勢は異なるという事を示す一例になると思います。