猫背は本当にダメなのか?-03

前回のブログで、以下の図を紹介しました。

必要な姿勢

これらの姿勢には、身体に負担が生じる可能性があります。この事は、オーストラリアのO’Sullivan先生らの研究によって示されています1, 2) 。

その一方で私は、これらの姿勢は日常生活において必要な場面があると考えています。それゆえ私は、これらの姿勢において身体に生じる負担を減らすために、座骨に荷重し、可能な限り首肩周りの余分な力を抜こうとしています。また、腹部深層の筋肉を使い、姿勢をコントロールしようとしています。

では、なぜ私はこれらの姿勢を必要と考えるのでしょうか?それは、目的とする動作によっては、これらの姿勢が有利になる場合があると感じるからです。

例えば、上を向く時は体幹が屈曲したBの姿勢(いわゆる猫背姿勢)よりも、体幹が伸展したDの姿勢の方が首肩周りにかかる負担が少ないと感じます。その一方で、下を向く時はDの姿勢よりも、Bの姿勢の方が容易と感じます。それゆえ、どの様な動作を行うか次第で最も適切な姿勢は異なる、と私は思います。

上を向く
下を向く

これらの姿勢をX線で撮影すると以下の様になります。

上を向く(X線)
下を向く(X線)

これらの画像は、個人的な研究のため、過去に職場の技師さんに頼んで撮ってもらったものです。これらの画像からも、上を向く時は体幹が伸展位となる姿勢が有利な一方で、下を向く時は体幹が屈曲位となる姿勢が有利な事が想像できると思います。

もう少し具体的な動作を見てみましょう。例えば、腕を挙げる場合は、体幹が屈曲位となる姿勢よりも伸展位となる姿勢の方が有利と思われます。その一方で、本を読む場合は、体幹が伸展位となる姿勢よりも屈曲位となる姿勢の方が有利と思われます。目的とする動作により、最も適切な姿勢は異なる事を表す一例です。

腕を挙げる
本を読む

時々私は、背すじをかなりピンと伸ばしながら読書をしている人を見かける事があります。一般的には良い姿勢とされているのかもしれません。しかし私の印象は異なります。その様な姿勢では、首や背中に余分な負担がかかっているかもしれません。

どう感じますか?

猫背は必要な姿勢です。背中をうまく丸くする事ができないと、身体に余分なメカニカルストレスが加わる事があると感じます。例えば、起き上がり動作で首に負担がかかったり、睡眠時に肩に負担が加わったりです。これらは、ほんの一例です。

背中を丸くする事が上手だと、様々な動作を滑らかに行う事が可能になると感じます。個人的な印象ですが、ピアニストのフジコ・ヘミングさんや清塚信也さんは背中を丸くする事が上手だと思います。また、X JAPANのYOSHIKIさんもそうです。ピアノという楽器の特性が、背中をうまく丸くできる能力を必要としているのかもしれません。背中をうまく丸くする事で、体幹と上肢が自然に連動し(うまく繋がり)、演奏の中にしなやかさと力強さを両立させているように私は感じます。

イメージ・イラスト

私は声を大にして言いたい、いや、文字を太くして書きたい。

背中を丸くできる事は大切な能力です。

さて、本日のブログでは、「必要な姿勢」に対する私の考えの一部を書きました。また、猫背の大切さについて書きました。猫背になれるとは、背中を丸くできるという事です。とはいえ私は、「背すじを伸ばす」という事を否定している訳ではありません。背すじを伸ばせる事は、背中を丸くできる事と同様に、大切な能力です。次回のブログでは、「背すじを伸ばす」という事についてどの様に行うべきか、私なりの考えを書きたいと思います。

それでは、また次回。

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参考文献

1) O’Sullivan PB, Dankaerts W, Burnett AF, et al.: Effect of different upright sitting postures on spinal-pelvic curvature and trunk muscle activation in a pain-free population. Spine, 2006, 31(19): E707-E712.

2) Caneiro JP, O’Sullivan PB, A Burnett, et al.: The influence of different sitting postures on head/neck posture and muscle activity. Man Ther, 2010, 15(1): 54-60.