東京パラリンピック、今日で閉幕です。限られた部位をうまく活かした選手の動きはとても参考になります。今日のテーマは「外力」です。「外力をうまく使うとはどういうことか」をご紹介します。
人の身体を一つの系(システム)とみなす時、身体の外部から作用する力を「外力」と呼びます。身体の内部で生じる力を「内力」と呼びます。外力と内力の総和により身体の動きは決まります。

最も有名な外力は、地球の重力でしょう。地球の重力により、私たちの身体は地面に引っ張られます。私たちの身体が地面と接する時、地面からは「床反力(ゆかはんりょく)」と呼ばれる力を受けます。例えば、ボールを地面に落としたら、ボールは地面から跳ね返ります。この時、地面から押し返される力が床反力です。
床反力は、地球の重力に対する反作用の力です。これらの力をうまく利用する事で、歩いたり走ったり、様々な動作を楽に行う事が可能になります。このブログにおいて「外力をうまく使う」とは「地球の重力や床反力をうまく使う」という事です。

次に、身体の中を見てみましょう。外力が加わると、身体の形が少し変化します。この時、身体には元の形に戻ろうとする力が生まれます。これを「弾性力」または「弾力」と呼びます。いわゆるバネの力です。
弾性力は、身体の様々な組織に生じます。筋肉は伸ばすだけでも縮もうとする力が生まれます。骨には「しなり」があります。身体を包む膜にも弾性があるでしょう。様々な組織が弾性力の発揮に関与します。弾性力は身体の動きに関与する重要な力です。
「動きにバネがある」という言葉があります。弾性力は、外力から得られます。ですから、「バネのある動き」とは「外力をうまく使った動き」の事であると理解してもOKです。例えば、東京オリンピックの男子マラソンで金メダルに輝いたケニアのキプチョゲ選手は、外力をとてもうまく使っていると感じます。

エネルギーの観点でも見てみましょう。前回のブログでも書きましたが、筋肉が力を発揮するためには、細胞内にあるアデノシン三リン酸(ATP)から放出されるエネルギーが必要です。しかし、細胞内にあるATPは有限です。つまり、筋肉が利用できるエネルギーには限りがあります。
外力を使った動きには、地球の重力による位置エネルギーが使われます。このエネルギーは、筋肉内のエネルギーよりも圧倒的に大きなものです。外力をうまく使った動きは、筋肉の過度なエネルギー消費を防ぎます。つまり、エネルギー効率が良いと言えます。
このブログにおいて「エネルギー効率の良い動きとは、外力をうまく使った動きの事である」と定義します。動きのエネルギー効率を向上するには、外力をうまく使うことが大切です。
本日の内容は、少し濃かったでしょうか?物理用語が多かったかもしれません。さて、私が外力をうまく使った動きを推奨するのには、他にも理由があります。それは次回のブログで紹介します。