このブログでは、動きに関連する様々な事を書いています。しかし、そもそも動きとは何なのか?これまで書いていませんでした。今日のブログテーマは「動きとは」です。
「動き」、とても一般的な言葉です。英語で表すと”motion”です。動きの様に一般的な言葉は、その意味を説明するのが以外と難しいものです。例えば、時間とは何かを説明するのは難しいですよね。
この様な場合に、物理の単位が「動き」とは何かを説明する上でとても役立ちます。みんなが大好き、物理の単位です。えっ、あまり好きではない・・?とりあえず、下の図を見て下さい。

質量・長さ・時間、これは、物理の基本単位と呼ばれるものです。他にもいくつかありますが、このブログではこの3つだけを紹介します。これら基本単位の組合せにより、速さや力やエネルギーなど、様々な概念を示す事が可能になります。基本単位の組合せにより示された単位の事を組立単位と呼びます。

「動き」を表す物理単位とは何でしょうか?これを示すのは以外と困難です。なぜなら、明確には示されていないからです。「動き 単位」とグーグルで検索しても出てきません。動きを表す単位は、少し違った言葉で表現されていると思います。
物理の世界には「運動量」という概念があります。物体の運動の大きさを表す概念です。運動量の単位は”kg•m/s”です。質量と速度の掛け算で表されます。私は、この「運動量」という概念が「動き」を表す物理単位であると考えています。

例えば、ある車が止まっている場合、つまり速度がゼロの場合、その車の運動量はゼロであり、動いていません。その一方で、ある車が走っている場合、つまり速度がゼロではない場合、その車の運動量はゼロではなく、動いています。したがって、「動きとは運動量の事である」、この様に言えると思います。また、別の言い方をすると、「動きとは物体が有する速度の事である」、この様にも言えると思います。
他のみかたも可能です。運動量の単位を細かく見てみましょう。単位は3つだけです。まず”kg”、質量を表す単位です。人の身体や動物や車など、全ての物体には質量があります。”kg”は、存在を表す単位です。次に”m”、長さを表す単位です。他にも面積や体積を表す事が可能です。”m”は、私達が存在する空間を表す単位です。最後に”s”、時間を表す単位です。過去から現在、未来へと流れる時間を表します。
「動きとは時間経過の中で生じる物体の空間的な位置変化の事である」
これが動きに対する私の考えです。この考えを用いれば、身体がうまく動いていないとはどういう事かも理解するのが容易になります。
「身体がうまく動いていないとは、姿勢や動作の中で身体のある部位が適切な位置に変化できていない状況の事である」
この考えを用いて私は日々の臨床を行います。例えば、歩行動作に問題がある場合、身体の一部が歩行という動作をするために必要な位置にうまく変化できていない状況にある、この様に考えます。
今日のブログでは、そもそも「動き」とは何なのか?私なりの考えを紹介しました。実はこのブログを公開する前に、数名の患者さんに「動きとは何だと思いますか?」と質問をしました。「力を加える事で起こる現象」・「生命の源」・「本当は自由な事」、この様な回答が得られました。どれも素晴らしい回答です。私の考えよりも分かりやすいかも・・(汗)。
これまで書いてきた内容は、家に例えると基礎や柱です。内容が硬いため、読む方も少し疲れたかと思います。しかし、今後のブログを書く上で欠かす事ができない部分でした。これまで読んでいただきありがとうございます。ようやく次回のブログから、具体的な内容に入ります。動きの評価法から書く予定です。
さて、本日のブログの最後に、1つ質問があります。皆さんの好きな物理単位は何ですか?えっ、そんなの無い・・。私の一番好きな物理単位は「運動量」です。”kg•m/s”、3つの基本単位だけで表したこの単位、シンプルでありながら美しいと思いませんか?それでは、また次回。