本日のブログから、具体的な内容に入ります。まずは動きの評価法です。主に動きの滑らかさとエネルギー効率の評価方法をご紹介致します。どちらかと言えば、専門家向けの内容です。
「臨床では評価が8割」、母校の先生が言っていました。「評価と治療は一体である」、また別の先生が言っていました。理学療法を実践する上で、評価は非常に重要です。
私の紹介する動きの評価法は、問診・視診・触診から構成されます。つまり、患者さんの話を聞き、姿勢や動作を見て、身体を動かしてみる、と言う事です。特別な道具は必要ありません。
まずは問診です。問診の主たる目的は、患者さんが有する問題を把握する事です。「いつ・どこに・どの様な問題があるのか」が重要です。例えば「立ち上がる時に右膝の内側がズキズキ痛い」、こんな感じです。
「いつ」は英語で”When”です。時間的情報です。どの様な姿勢や動作で症状があるのか。身体を動かした時だけなのか、それとも安静にしている時にもあるのか。朝方に強いのか、それとも夕方なのか。動き始めに強いのか、それともしばらく動くと表れるのか。症状が表れる時間を把握します。
「どこに」は英語で”Where”です。空間的情報です。身体のどこに症状があるのかをできる限り明確にします。例えば膝の痛みなら、膝の内側か外側か、表面か深部かなどを明確にします。症状がある部位を手で示してもらう事も有効でしょう。
「どの様な」は英語で”What kind of”かな。患者さんの主観的情報です。痛いのか、動かしにくいのか、しびれがあるのか、患者さんの主観を把握します。これは患者さん本人にしか分かりません。
時間的情報・空間的情報・主観的情報、これらを明確にする事で患者さんの身体に何が起こっているのか、おおよそ推測する事が可能になります。例えばどの様なメカニカルストレスが加わっているのか、炎症の程度はどれ位なのか、などを推測する事が可能になります。
問診により得られた情報は、次に行う視診で何をみるべきかを教えてくれます。例えば、歩くのが痛い人なら歩行動作を、座っているのがつらい人なら座位姿勢を、腕を上げるのが痛い人なら腕を上げる動作を観察するといいでしょう。
問診は適切なリスク管理を行う上でも重要です。何か問題があるのに、姿勢や動作の観察等、動きの評価をすすめるべきではありません。必要があれば、様々な検査をまず行うべきです。動きの評価は、リスク管理上の問題をクリアした上で実施します。
本日のブログでは、理学療法領域で行う問診について紹介しました。問診と書くと硬いですが、それはつまり患者さんとの会話です。できる限り自然な会話の中で要点を把握したいものです。
仮にこのブログを読んでいるあなたが若手の理学療法士で、患者さんの話をうまく聞く事に苦労しているのであれば、今日私が紹介した「いつ、どこに、どの様な」を意識してみて下さい。要点が把握しやすくなると思います。
患者さんの中には症状をうまく伝える事が苦手な人もいます。時間的情報をうまく伝える事が苦手な人の割合が多いのかなと思います。しかし、時間的情報は臨床を行う上で重要です。あまりこだわり過ぎても良くありませんが、可能な限り「いつ、どこに、どの様な」を明確にしたいものです。
次回のブログでは視診の方法を紹介します。姿勢や動作を観察するという事です。動きのエネルギー効率を評価する事が可能です。
さて、本日のブログの最後に、簡単なアンケートを実施したいと思います。前回のブログの最後に「皆さんの好きな物理単位は何ですか?」と書きました。この様な質問を2つ作りましたので、よければ回答して下さい。回答の集計結果は、後日のブログで報告したいと思います。
回答して頂いた皆様、ありがとうございます。それでは、また次回。
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